■不動産経済ファンドレビューNo.38(2006.3.25/兜s動産経済研究所 発行)に弊社代表取締役 佐藤明彦のインタビューが掲載されました。
 不動産証券化のアレンジャー業務に特化するグラウンド・ファイナンシャル・アドバイザリーは旧日本興業銀行のOBを中心に立ち上げたベンチャー企業で、今年2月、ジャスダック証券取引所に上場した。不動産ファイナンスニーズが増大する中、中立的アレンジャーという独自路線を走る同社の経営方針などを聞いた。


■主要業務であるアレンジャー業務について教えてください。
佐藤……
主に不動産証券化のアレンジャー業務を手掛けていますが、不動産への投資や保有、開発を行う資金需要者に対して、ノンリコースローンを活用したストラクチャード・ファイナンスのスキームを組成し、提供しています。アレンジャー業務には、ストラクチャリング業務とアドバイザリー業務という2種類の業務があります。ストラクチャリング業務はスキームの検討段階から最終的な資金決済まで一貫したファイナンス・アレンジメントを行います。一方、アドバイザリー業務は、資金調達後にSPCからの業務委託を受けて行うスキームのメンテナンス業務と、ストラクチャリング業務の前段階で行う助言などのコンサルティング業務です。

■報酬体系はどのようになっていますか?
佐藤……
ファイナンス・アレンジメントを行うストラクチャリング業務では、個別案件ごとに資金調達が実現した段階で成功報酬を頂いています。スキームのメンテナンスおよびコンサルティングのアドバイザリー業務については、それぞれの業務委託契約に基づく定期定額のフィーを頂きます。

■アレンジャー業務に特化している理由は?
佐藤……
当社は私を含め、旧日本興業銀行のメンバーを中心に立ち上げました。私自身は興銀証券でアレンジャー業務を、その後移ったアーバンコーポレイションでオリジネーターサイドのスキームづくりを手掛けた経験をもっています。そうした経験を積む中で、いろいろなクライアントの立場からサポートする会社をつくりたいと思うようになったことが当社を立ち上げた理由です。アレンジャー業務とは、マネージャーの役割に特化することです。アセットマネジメント業務や仲介業務、投資業務など、他の業務を手掛けると利益相反が起きてしまいます。いまは不動産価格が上昇しているため、結果オーライということで、利益相反についてはあまり言われなくなりましたが、今後、状況が変われば利益相反の問題は必ず浮上します。当社は利益相反のない立場で業務を行っていきます。主に不動産の買い手であり、資金を借りる側に立って、スキームをアレンジしています。

■不動産投資市場の現状をどう見ますか。
佐藤……
まだ1〜2年は不動産価格が堅調に推移するでしょう。需給関係から見ると、日本の不動産への投資の流れが止まる要素は見当たりません。金利が上昇する気配はありますが、不動産投資の流れを止めるほどではありません。不動産証券化というマーケットの流れは後戻りしないでしょう。その流れとは、1つはキャッシュフローを見ること、もう1つは所有と経営の分離です。後者が完成された形がJリートです。

■金融当局は不動産融資の増加傾向を警戒しているようですが。
佐藤……
不動産関連融資が純増していることで、金融機関側にレンディングポリシーがあるのか、つまり融資を制御する仕組みがあるのかどうか、あるいは貸出方針の中で上限を設けているのかどうか、ということについて金融当局は去年から警戒感を持っています。当局は不動産向け融資が増加すること自体を警戒しているのではなく、増加してもいいけれど基準を持って歯止めがかけられるように体制を整備した上で貸出を行いなさい、ということです。ポリシーをつくる(=貸出の上限を決める)ことを求めています。信託の受託業務についても何でも受託しないで、責任の持てるものだけを手掛けなさいと言っています。したがって、今後はデューデリジェンスの基準が厳しくなっていくでしょう。

■スタッフの数はそれほど多くありません。今後陣容を拡充する予定はありますか。
佐藤……
当社のポジションは限られた経営資源の中でオリジナリティを発揮し、全社的な技術を集積して業務を展開していくことです。上場したことで信用力や資金調達力がアップしましたので、コアであるアレンジャー業務を強化するため、人員を増強します。現在は、役員を入れて11名体制ですが、2006年度末には20名弱に増やす計画です。

■これまでの主な実績を教えてください。
佐藤……
守秘義務のあるものがほとんどなので具体的な事例は挙げられませんが、大きな案件としては、福岡リート投資法人の組成でファイナンスのお手伝いをしました。数百億円単位という大規模なファイナンスです。このほか3年前から、新生銀行とみずほ信託銀行と共同で、小口不動産投資スキームのプログラムを提供しています。これはノンリコースローンによるファイナンススキームで、プログラムには、商品をつくって提供することから、メンテナンスまで行うことを含んでいます。投資ターゲットは、数億円単位のオフィスビル、レジデンス、商業施設が中心です。開発型は除きます。

■今後の取組について。
佐藤……
クライアントのニーズに合わせて展開していくことがわれわれの基本姿勢です。プロダクトをつくって積極的にマーケティングを行うのではなく、法律や税制、会計などいろいろな制度が変わっていく中で、つねに考えながら事業を展開していきます。予め決まったことではなく、環境に合わせて進めていくため、具体的な取組や事業の中身を示していくことが難しいのです。

■新規事業の立ち上げなどの計画は?
佐藤……
新規事業については@シナジー効果Aオリジナリティ(優位性)Bマーケットニーズ(クライアントニーズ)の3つの要件を満たすものに取り組みたいと思っています。現在、検討しているのは信託業務への参入です。信託業法の改正で参入が可能になりましたし、不動産信託の分野ではまだ新規参入がありません。当社には信託業務の知識があり、スキーム組成に難渋している企業もありますから、クライアントニーズもあります。当社単独ではなく、他社と組んで参入することになると思います。管理型信託は登録で済みます。体制をつくって信託ニーズを持っている企業と共同で参入することを検討していきます。

■目指している会社の将来像、クライアントとの関係、事業規模などについて。
佐藤……
いまは不動産を対象にした金融のスキームづくりを手掛けていますが、当社の基本は金融サービス業です。スキームをつくって、資金を必要とするクライアントと資金を供給するクライアントのニーズを合致させるという、金融のサービス・仲介業を展開する会社です。不動産以外の資産を対象にした金融ニーズにも積極的に対応していきます。つねにクライアントの方を向いて商売し、クライアントの評価を得られるような企業を目指しています。事業規模は追求していません。サービスのクオリティを追求することで、クライアントからベストな会社だと評価されるようにしたいと思っています。当社が提供するコンテンツは、事業そのものの証券化であり、事業を担保にしたファイナンススキームです。新しい資産の新しいファイナンスを目指し、着実な成長を果たしていきます。

■今後の金融政策次第では、事業に大きな影響が出るのでは?
佐藤……
不動産は最大の資産担保ですから、不動産とファイナンスは切っても切れない関係にあります。いまはそのあり方が変わってきました。Jリート市場やプライベートファンドの拡大、不動産価値の評価手法・手続きの変化、ノンリコースローンを含めたストラクチャードファイナンスの進展など、不動産と金融が融合する不動産ファイナンスは、ダイナミックに変化を遂げています。手持ち資金では不動産が買えませんから、通常はデットの資金を借りて不動産を購入します。金利が上がるとデット資金のコストが上昇しますから、エクイティリターンは下がります。そうなれば、ポートフォリオのウエイトを変えるために、他の金融投資商品に一部の資金は流れると思います。

■不動産の取得Capレートの低下=価格の上昇をどう見ていますか。
佐藤……
2年前と比べて不動産価格はかなり上昇していますが、価格上昇はもう少し続くでしょう。とくに現在は海外からの投資需要が大きくなっており、首都圏の不動産を求めています。そうした状況の中でわれわれはJリートの組成にあたって、デットファイナンスのお手伝いをしています。不動産価格の上昇は不動産投資市場にとってフォローの風です。投資ニーズが増加し、市場のパイが拡大するからです。

(不動産経済ファンドレビューNo.38/2006.3.25)